アワビとトコブシはどこが違うか。
ミミガイ科の貝のうち、大型になる種をアワビ、小型の種をトコブシと呼ぶ傾向がある。日本産の種類については殻に開いた孔の数で区別できる(4-5がアワビ、6-9がトコブシ)が、外国産のアワビには孔の数が多いものもある。このように、種類によってアワビやトコブシと呼んでいるだけで分類学的な分け方ではない。築地市場でも、アワビ類の若い個体をトコブシとして販売していることがある。


アワビやトコブシは原始腹足目ミミガイ科の巻貝で、世界中で100種あまりが知られている。日本には約9種分布する。このうち九州以北でふつうに見られ、食用にされるものは、メガイアワビ、クロアワビ、マダカアワビ、トコブシの4種である(エゾアワビはクロアワビの北方型)。古来日本ではアワビとトコブシは区別されておらず、延喜式*ではトコブシを小鰒としている。後の時代になると、大型になり殻に開いている孔の数が少ないものを鮑(アワビ)、小型で孔の数が少ないものを床伏(トコブシ)として区別した。アワビの種が区別されるようになったのは明治時代以降と思われる。それまではクロアワビとメガイアワビはアワビの雌雄と考えられていた(マダカアワビは産地が限られ産額も少なかったので、一般的ではなかった)。現在でもクロアワビを「おんがい(雄貝)」、メガイアワビを「めんがい(雌貝)」と呼ぶことがある。








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