チリ産ギンザケの身が溶けた。/加工した冷凍サバを解凍したら身が溶けた。/魚の身の中に黒い粒が入っている。
腐敗とは関係なく軟らかくなった筋肉や、筋肉中に空洞ができたりしたものをジェリーミートという。原因として、粘液胞子虫の寄生や、産卵後など極度な栄養の消費などのほか、原因のわからないものもある。今のところ有効な対処方法はない。


(1)粘液胞子虫によるジェリーミート
 粘液胞子虫は粘液胞子虫門に属する生物の総称で、ミクソゾアとも呼ばれる。単細胞で、大きさは約10ミクロンと非常に小さく、単体では肉眼で確認できない。粘液胞子虫の集まり(シスト)を宿主(魚など)の組織が包み込み、白や黒の粒状の異物として見つかることもある (「ホシ」と呼ばれるものなど)。宿主である魚などが生きている間は、粘液胞子虫が寄生していても大きな変化は起こらない。宿主が死ぬと、粘液胞子虫は宿主の体外に出るため蛋白質分解酵素 (プロテアーゼ)を分泌し、筋肉組織を破壊する。冷凍魚の場合、凍結により酵素の働きが止まるためジェリーミートは進行せず、解凍や調理によって酵素が活性化して筋肉が溶かされる。このように、ジェリーミートは時間経過とともに進行するので、事前に発見することは困難である。マグロ類の異常肉の一つである「あずき」と呼ばれるものも、粘液胞子虫によるジェリーミートである。なお、粘液胞子虫は人体には寄生しないので、食べても無害である。









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