「かにみそ」はカニのどの臓器か/「かみにそ」の多い時期はいつか/「かにみそ」が黒くなるのはなぜか
中腸腺(ちゅうちょうせん)。肝膵臓(かんすいぞう)とも呼ばれる。


カニ類の甲羅をはずすと、中心からやや上方の左右に、黄土色で表面が絨毛状の小突起で被われる組織がある。一般に「かにみそ」と呼ばれるが脳ではなく、中腸腺である。カニ類やエビ類を含む甲殻類では、膵臓は1つの臓器として独立せず、肝臓内に組織として入り込んでいる。これが中腸腺で、肝膵臓とも呼ばれる。なお、脳は両眼の中間にあり、小さい。

中腸腺の役割:消化酵素の分泌、栄養物の蓄積、分解、吸収である。食道と胃からなる前腸に続く中腸に付属する。中腸に酵素を分泌するとともに、中腸で消化された栄養物を吸収する。蓄積された栄養物は脱皮や生殖腺の成熟に使われる。

中腸腺の脂質の季節変化:一例としてクルマエビについて調べられている(Teshima & Kanazawa, 1983)。クルマエビの産卵期は4-10月と長く、同じ時期に卵巣の成熟の程度が異なる個体が見られる。そこで6月と9月に、それぞれ成熟度の異なる卵巣と中腸腺の脂質含量を調べた。どちらの時期も、中腸腺の脂質含量は卵巣の成熟前に増加し、卵巣が完熟期に達したときは減少していた。したがって、中腸腺の脂質含量は、季節には関係なく卵巣の成熟前に最大になると考えられる。
 また、甲殻類は成長するために脱皮をするが、脱皮は非常に体力を消耗する。このときも、中腸腺に貯えられた脂質が使われる(中村, 1996)。そのため、脱皮後に中腸腺が痩せている可能性がある。








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